● 荻窪 教会通り てんゆ堂鍼灸院 「日日是好日」●

    
    東洋医学からみた
    鍼灸治療法
    健康情報
    養生法などなど徒草に
荻窪 教会通り 恬愉堂鍼灸治療院
新型コロナに効く中医薬 6

おはようございます。自粛疲れの患者さんが多いです。
先が見えない不安が続くのは大きなストレスです。

さて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して中国政府は国務院通知として「新型冠状病毒肺炎診療方案」を発表しています。2020年3月3日に発表された最新の「試行第七版」では中医治療の詳細なガイドラインが示されています。中医薬として今回、新たに創方された清肺排毒湯(せいはいはいどくとう)をガイドラインでは優先的に使用するよう提案しています。

この薬は軽症から重症まで幅広く用いることができるようです。北京中医薬大学は「中医薬は重症化を阻止して重症患者の病状を緩和させ、治癒率を高め死亡率を低減させることができる」としています。4月17日、北京中医薬大学副校長の王偉教授は「清肺排毒湯は新型コロナウイルスの特効薬だと認識している」と発言しています。

また新型インフルエンザの流行時に創方された連花清瘟(れんかせいおん)は幅広いスペクトルをもつ中医薬の抗ウイルス剤として、呼吸器のウイルス感染症に対して中国の臨床現場で広く使用されている方剤です。連花清瘟は日本では発売されていない方剤ですが、効果としては「清瘟解毒、宣肺瀉熱」の効果を持ち、感染性の発熱およびそれに伴う症状と肺の症状(咳・呼吸困難など)を改善する処方となります。

その他にも金花清感(きんかせいかん)は新型インフルエンザ治療用の中医薬として北京の複数の医学研究機関の共同研究によって開発されています。タミフルの効果とほぼ同じとされています。しかし、これらの中医薬は予防的に飲む方剤ではありませんので、ご注意ください。中医薬治療で感染患者の9割に「効果が出る」というのは、中国では定説になりつつあり、西洋医学に中国の伝統的な中医薬を結合させる中西結合というコンビネーションで非常に効果を上げているのです。

一方、日本の日本東洋医学会は新型コロナウイルス感染症やその疑いのある患者に対し、医師が処方した葛根湯(かっこんとう)などの漢方薬や解熱鎮痛薬などの対症療法が、その後の重症化の有無とどう関連があるか調べるため、医療機関に症例報告を呼び掛けています。

同学会は1000例規模を集め統計的に解析するようです。症例募集は医療機関が対象で同感染症(疑いを含む)患者に対し、熱や咳などを抑えるための対症療法として投与した薬の内容、受診開始から14日目までの症状の推移と、重症化(酸素投与)の有無などの情報提供を求めています。

研究事務局の東北大病院漢方内科の高山真准教授は「感冒症状に処方する漢方薬には抗炎症・抗ウイルス効果、免疫調整作用などが報告されているものもあり、新型コロナウイルス感染症でも一定の効果が期待できる可能性がある」と説明しています。その上で漢方薬を希望する際には医師や薬剤師と相談した上で内服するよう呼び掛けています。

中国では新たに効果がある中医薬を創方していますが、日本では旧来の漢方薬がどの程度効果があったか検証するというのです。どうですか!? 政府主導で新しい漢方薬を作り治そうというのと、片や効果を調べる… 漢方薬の分野でさえ、この緊急事態での対応に大きな差異が露見しています。残念ながら日本の研究力の低下は著しいという他ないでしょう。様々な業界で「モノづくり日本」という幻想から早く脱局しないといけません。早く気づき行動しないと、その遅れは取り返しのつかない差として後世に負の影響を与えることは必定です。  〆 

<関連記事>
・新型コロナに効く中医薬 1
・新型コロナに効く中医薬 2
・新型コロナに効く中医薬 3
・新型コロナに効く中医薬 4
・新型コロナに効く中医薬 5

| 漢方薬 | 09:40 | comments(0) | - | ↑PAGE TOP -
新型コロナに効く中医薬 5

おはようございます。週末にスープカレー
を作ってみました。スパイスも漢方も似てる!?

さて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)において、中医学で特に注目された方剤が清肺排毒湯(せいはいはいどくとう)や連花清瘟(れんかせいおん)になります。その他、金花清感(きんかせいかん)などが使われて効果をあげまています。この金花清感は新型インフルエンザ治療用の中医薬として北京の複数の医学研究機関の共同研究によって開発されています。タミフルの効果とほぼ同じとされています。

清肺排毒湯は日本のエキス製剤にはありませんので、エキス製剤を組み合わせて同様なものを作ることができます。金沢大学附属病院漢方医学科・小川恵子氏によると、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)+胃苓湯(いれいとう)+小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)の3剤を一緒に服用し、70歳以上は成人1日量の2/3〜1/2としています。また連花清瘟や金花清感の処方の意図は金羚感冒散(きんれいかんぼうさん)+麻杏甘石湯です。

また小川氏によると、予防(無症状病原体保有者)には補中益気湯(ほちゅうえっきとう)と十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)が推奨されています。補中益気湯は動物実験よりインターフェロン自体の産生を促進するとともに、IL-1αとIL-6の産生を抑制すると報告されています。 十全大補湯のヒト対象の研究ではNK細胞機能が改善されることが分かっています。また、抑制系も活性化されることから過剰な炎症の予防も予想されます。

そして「我が国の状況は予断を許しませんが、有効性が期待される薬剤治療や、ワクチンの開発が間もなく開始されると思われます。そのような背景で漢方治療は、より早期の治癒や身体機能の回復などに役立つと考えられます」と述べています。(日本感染症学会(特別寄稿);小川恵子,COVID-19感染症に対する漢方治療の考え方(改訂第2版).2020.4.21

中国を代表する感染症研究者である張文宏氏(復旦大学附属華山医院感染科主任)は、4月中旬の会見で「上海では病例の約93%の感染者が中医薬を服用しており、治癒率は約97.5%だった。これは中医薬と西洋の治療法による中西結合がもたらした結果だ」と述べています。中国では何故、COVID-19の封じ込めに成功したのでしょうか。張氏は、その理由を「迅速な発見、隔離、追跡」だとしています。症状がある患者を早期に隔離し、濃厚接触者についても徹底的に追跡し隔離を行ったことが迅速な収束に寄与したというのです。

日常の食事や生活習慣の見直しにより自己免疫力を高めることができます。中医薬も長期的な服用が求められ即効性は期待できません。そのため呼吸悪化など緊急性を伴う場合は、むしろ西洋医学のアプローチが必要となります。だからこそ中西結合とイイ所取りというわけです。しかし中医薬単体での貢献はどれほどのものかは不明な部分があり、以後の学会誌や学術雑誌の報告や論文を注視していく必要があります。  つづく・・・

<関連記事>
・新型コロナに効く中医薬 1
・新型コロナに効く中医薬 2
・新型コロナに効く中医薬 3
・新型コロナに効く中医薬 4
・新型コロナに効く中医薬 6

| 漢方薬 | 09:49 | comments(0) | - | ↑PAGE TOP -
新型コロナに効く中医薬 4

おはようございます。紫外線が強い季節です。
目も日焼けするのでサングラスをオススメします。

さて、2020年3月24日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対応について、中国で専門チームを率いた鐘南山院士のグループによる「新型コロナウイルス感染症に対する連花清瘟の抗ウイルス、抗炎症作用」の報告があります。連花清瘟(れんかせいおん)はVero E6細胞におけるSARS-CoV-2の複製を有意に阻害し、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6、CCL-2/MCP-1、CXCL-10/IP-10)の発現レベルを有意に低下させるとしています。

連花清瘟は幅広いスペクトルをもつ漢方の抗ウイルス剤として、呼吸器のウイルス感染症に対して中国の臨床現場で広く使用されている方剤です。連花清瘟の構成生薬は、麻黄、杏仁、甘草、石膏、連翹、金銀花、板藍根、貫衆、魚腥草、藿香、大黄、紅景天、薄荷です。連花清瘟は日本では発売されていない方剤ですが、効果としては「清瘟解毒、宣肺瀉熱」の効果を持ち、感染性の発熱およびそれに伴う症状と、肺の症状(咳・呼吸困難など)を改善する処方となります。

中医学の視点で見て見ると、新型コロナウイルス感染症では、原因ウイルスは中医学では外邪(がいじゃ)といいますが、これに対処すると同時に体の中ので生じた熱である内火(ないか)にも対処する必要があります。今回の新型コロナウイルス感染症場合であれば内火=肺炎です。原因を排除しながら発熱や発熱の再発を抑える処方になっています。

連花清瘟は新型インフルエンザの時にタミフルと比較した試験も行われましたが、症状改善や解熱に要する時間もタミフルに比べ経過も良好で期間も短かったという報告もあった方剤です。清肺排毒湯(せいはいはいどくとう)は中国のガイドラインでは優先的に使用するよう提案していますが、連花清瘟についても過去の感染症で使用されたことから中国では多く使用されたようです。しかし清肺排毒湯も連花清瘟も予防的に飲む方剤ではありませんので、ご注意ください。  つづく・・・

<関連記事>
・新型コロナに効く中医薬 1
・新型コロナに効く中医薬 2
・新型コロナに効く中医薬 3
・新型コロナに効く中医薬 5
・新型コロナに効く中医薬 6

| 漢方薬 | 09:37 | comments(0) | - | ↑PAGE TOP -
新型コロナに効く中医薬 3

おはようございます。ジャスミンが咲き誇り、
甘い香りに癒されます。初夏の気配を感じます。

さて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して中国政府は国務院通知として「新型冠状病毒肺炎診療方案」を発表しています。3月3日に発表された最新の「試行第七版」では中医治療の詳細なガイドラインが示されています。

中医薬として今回創方された清肺排毒湯(せいはいはいどくとう)は軽症から重症まで幅広く用いることができるようです。処方内容は、麻黄9g、炙甘草6g、杏仁9g、生石膏15〜30g、桂枝9g、沢瀉9g、猪苓9g、白朮9g、茯苓15g、柴胡16g、黄芩6g、姜半夏9g、生姜9g、紫苑9g、冬花9g、射干9g、細辛6g、山薬12g、枳実6g、陳皮6g、藿香9gです。

清肺排毒湯は『傷寒論』に記載されている処方である麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)、五苓散(ごれいさん)、小柴胡湯(しょうさいことう)、射干麻黄湯(やかんまおうとう)、茯苓飲(ぶくりょういん)に藿香(かっこう。シソ科のパチョリの地上部を乾燥したもの)が配合されたような内容で時期を問わずに幅広く用いる処方として開発されました。感染が確定していない時期には胃腸の不調がある場合と、発熱を伴う倦怠感を覚える場合の2つに分けて経過を観察して診断が確定した後は清肺排毒湯を用います。そして重症以上になると中医注射剤が使われます。

さらに軽症・中等症・重症・重篤・回復期に分けて(しょう)を鑑みて処方内容が決められます。COVID-19は中医学的には温病(うんびょう)、時疫(じえき)ととらえられ、寒湿鬱肺、湿熱蘊肺、湿毒鬱肺、寒湿阻肺、疫毒閉肺と弁証されます。また湿邪(しつじゃ。体内に過剰になっている不要な水分など)が特徴で「毒」が基本病機となっている湿毒疫(しつどくえき)に属するとの考えもあります。

北京中医薬大学は「中医薬は重症化を阻止して重症患者の病状を緩和させ、治癒率を高め死亡率を低減させることができる」としています。4月17日、北京中医薬大学副校長の王偉教授は「清肺排毒湯は新型コロナウイルスの特効薬だと認識している」と発言しています。

中国を代表する感染症研究者である張文宏氏(復旦大学附属華山医院感染科主任)は、4月中旬の会見で「上海では病例の約93%の感染者が中医薬を服用しており、治癒率は約97.5%だった。これは中医薬と西洋の治療法による中西結合がもたらした結果だ」と述べています。中医薬治療で感染患者の9割に「効果が出る」というのは、中国では定説になりつつあり、西洋医学に中国の伝統的な中医薬を結合させる中西結合というコンビネーションで非常に効果を上げているというのです。  つづく・・・

<関連記事>
・新型コロナに効く中医薬 1
・新型コロナに効く中医薬 2
・新型コロナに効く中医薬 4
・新型コロナに効く中医薬 5
・新型コロナに効く中医薬 6

| 漢方薬 | 10:09 | comments(0) | - | ↑PAGE TOP -
新型コロナに効く中医薬 2

おはようございます。今年のGWはSTAYHOME週間
皆さん、どのように過ごされましたか!?

さて、世界的に中国で真っ先に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が大流行します。2020年1月23日、湖北省武漢市オーバーシュートを起こし都市封鎖が行われました。

その、わずか2日後の1月25日、習近平国家主席は中央政治局常務委員会の会議で、感染者治療における「中医主導の中西結合モデルを飛躍的に高めよ」と強く指示を発しています。国家中医薬管理局はこの習主席の要求に対して即座に反応し、1月27日に「新型コロナ予防治療プロジェクト」を起動させます。

そして4つの省での中医薬治療の実験的な導入が試みられました。湖北省の中西医結合医院が退院した患者52例を分析したところ、西洋薬と中医薬併用された34例は、西洋薬のみ処方された18例に比べて症状が顕著に軽減退院までにかかる時間も短縮されたとしています。

2月6日には国家衛生健康委員会が清肺排毒湯(せいはいはいどくとう)と西洋医学を結合させた使用を全国に通達しています。また、98名の患者に清肺排毒湯を投与したところ、投与開始3日後に患者の3割から8割強から発熱の症状が消失、6日後には79人の患者に症状の改善が見られたという報告もありました。これにより清肺排毒湯はたちまち全国に広がりました。  つづく・・・

<関連記事>
・新型コロナに効く中医薬 1
・新型コロナに効く中医薬 3
・新型コロナに効く中医薬 4
・新型コロナに効く中医薬 5
・新型コロナに効く中医薬 6

| 漢方薬 | 09:26 | comments(0) | - | ↑PAGE TOP -
新型コロナに効く中医薬 1

おはようございます。今日は振替休日で休みですが、
てんゆ堂診療しています。あいにくの雨模様です。

さて、中国新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の封じ込めに一定の成果を出したその理由は大胆な封鎖措置だけではないようです。実は中国の伝統的な薬方である中医薬(日本では漢方薬)が効果を上げたとされています。中国・国家中医薬管理局科技司の司長は2020年4月14日に「中医薬が今回の新型コロナウイルス感染症治療の中で重要な役割を果たした」と述べています。

そもそも習近平国家主席は、2019年10月末に「中華民族の数千年にわたる健康保養の理念である中医薬学は、中華文明の貴重な宝であり、中国人民と中華民族の豊かな知恵である。中医薬と西洋の医薬を相互に補充させ、中医薬産業を世界に送り出すことは、中華民族の偉大な復興と中国の夢を実現させるものだ」と重要指示を出しています。これは中医薬学の現代化と産業化を推進させるという国家戦略です。

そして2か月後の12月18日、中国人民対外友好協会と北京市人民政府は「中医薬を世界に知らしめ、世界に送り出す」――をテーマにしたフォーラムを北京で開催しています。そこで「中医薬は『一帯一路』の沿線国の医療体系に取り込まれ、共有されるべき重要な衛生資源である」と発しています。

習主席は政権に就いて以降、過去に何度となく中医薬の発揚を繰り返しています。中国は現代西洋医学では後れを取っていますが、中医薬で対抗して世界の医療体制に影響を与えたいという戦略があります。ですから、このCOVID-19の世界的流行(パンデミック)は願ってもないチャンスになったと推測されます。

ついでに世界鍼灸学会連合会(The World Federation of Acupuncture - Moxibustion Societies:WFAS)は世界の鍼灸関係の学術団体が加盟している国際的な団体です。日本主導で1987年に設立され、1998年にはWHOと公式関係のある鍼灸NGOとなっています。現在、53カ国から178団体が加盟し、日本からは公益社団法人の全日本鍼灸学会日本伝統鍼灸学会などが加盟しています。この学会に出席すると多くの中国人が参加しています。組織のTOPも中国が牛耳っており、国家戦略として政府主導で東洋医学の世界で影響力と発言権を強固にしています。中国は数を背景に人材・経済力により様々な国際組織の要職に中国人を続々就任させています。  つづく・・・


<関連記事>
・新型コロナに効く中医薬 2
・新型コロナに効く中医薬 3
・新型コロナに効く中医薬 4
・新型コロナに効く中医薬 5
・新型コロナに効く中医薬 6
| 漢方薬 | 11:09 | comments(0) | - | ↑PAGE TOP -
漢方薬 あれこれ 3

おはようございます。台風地震と大きな自然災害
が立て続けに起きています。”備えあれば患いなし

さて、日本の東洋医学古代中国の医学を基礎に改良され、独特の発展をとげた我が国独自の伝統医療となっています。特に漢方医学では中医学が理論的で複雑なのに対して、日本では江戸時代に実用が重んじられてシンプルになり、庶民にも使われるようになったのです。現在では148処方の漢方薬と約200種類の生薬に健康保険が適用されています。

現代西洋医学のイイ面も多々あります。今後も再生医学ゲノム解析を用いた診断技術は期待される分野です。一方、ガン、心臓・脳血管疾患、糖尿病、高血圧症などの生活習慣病慢性疾患、また現代病といわれるアトピー性皮膚炎、機能性胃腸症、花粉症、うつなどの増加のもとで近代西洋医学の効果に限界を感じ始めた患者や医療従事者も少なくありません。そこで注目されているのが伝統医学です。世界のこうした流れに逆行するように、日本国内での漢方医学への風当たりは強く、存続を危ぶむ声も上がっています。その理由のひとつが漢方薬の保険はずしの動きです。

記憶に新しいのは2009年11月に行われた行政刷新会議の事業仕分けで、仕分け人たちによって漢方薬は保険適用から外すべきという結論が下されました。日常的に漢方薬を服用して病気治療をしている患者にとって、漢方薬の保険はずしは負担増にもつながります。医療の実状を無視し、漢方薬を「無駄」と決め付けた行政刷新会議の判断には反対運動が巻き起こり、3週間92万筆以上の署名が集まりました。その結果、2010年度はかろうじて漢方薬の保険適用は継続されることになったのです。また原材料である生薬の高騰も漢方医学の存続が危ぶまれる理由です。財源を理由とした安易な保険はずしの議論や薬価の引き下げは、国民の健康と、この国に脈々と受け継がれてきた伝統医療を同時に失うことにつながりかねないのです。

アジアで発展してきた伝統医学は、現在では欧米でも利用者が増えています。中でも西洋医学と漢方医学を融合させて治療実績をあげている日本の医療は注目されており、欧米諸国だけではなく、東洋医学思想のある中国や韓国からも留学生が訪れているというのが実情です。世界保健機関(WHO)でも25年ぶりに改訂する国際疾病分類(ICD)伝統医学を組み込んでいます。これを機に、世界で伝統医学に関する調査や研究、臨床試験、教育が進められる動きが出てくることは必定です。

政府は漢方薬の効能などについてビッグデータを活用して検証する方針を固めています。2019年中にも始め、薬1種類につき100万人規模の使用者データを集めて分析するようです。日本の伝統医療である漢方医学は、元になったインドのアーユルベーダや中国の中医学(TCM)といった伝統医療も含めると薬は数万種類あるとされています。経験に基づいているため、効能や副作用が出る仕組みなどが科学的によく分かっていない薬も多いのです。ビッグデータを活用して科学的な根拠を確立し、漢方薬の効果的な服用方法を見つけたり、副作用の防止につなげたい考えです。内閣官房が2019年度予算の概算要求に関連費用を盛り込むんでいます。東洋医学関連にもっと科研費!!  〆

<関連記事>
・漢方薬 あれこれ 1
・漢方薬 あれこれ 2
・鍼灸治療・漢方薬  WHO認定 1〜3

・統合医療 1〜4
・補完・代替医療:CAM 1〜4
・ガン 補完代替医療 1〜7
・自律神経免疫療法 1〜3
・薬用作物(薬草)栽培 1・2
・漢方 指針作り 1〜5
・生物資源 1〜4
・葛根湯 1〜4
・独活葛根湯 1・2
・清肺湯 1〜3
・防風通聖散 VS 九味半夏湯 1〜5
・漢方薬の軟膏 1・2
・逆子の灸 1〜5
・不妊治療 鍼灸 1・2
・「つわり」の鍼灸治療

| 漢方薬 | 08:59 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑PAGE TOP -
漢方薬 あれこれ 2

おはようございます。明朝に北海道大きな地震アリ。
自然災害に自分が合わないと考える方が不合理かも・・・

さて、日本の漢方医学古代中国の医学を基礎に改良され、独特の発展をとげた我が国独自の伝統医療です。古代中医学が理論的で複雑なのに対して、漢方医学は江戸時代に実用が重んじられてシンプルになり、庶民にも使われるようになった経緯があります。

そして漢方エキス製剤保険適用になったのは1967年からです。当時の医師会長、武見太郎氏の働きかけによって、まず4種類の漢方薬が健康保険に認められ、1976年に一気に適用が拡大さました。現在のように148処方の漢方薬と約200種類の生薬に健康保険が適用されるようになったのは1975年以降のことなのです。クリニックなどで処方箋をもらうと本当に安価に購入できます。3割負担で1か月処方してもらって、皆さんが薬代として支払うお金は平均1000円です。1か月分でたった1000円です。国民皆保険制度は素晴らしいですね。

そして実は生薬を用いた煎じ薬にも保険適用されています。しかし、その処方箋を扱える薬局が少ないのです。院内薬局でも院外薬局でもイイのですが、たくさんの生薬を常備している必要があります。生薬の値段が高騰している昨今、たいした利益にならない保険適用の漢方煎じ薬を扱うことができる施設は限られています。また生薬には品質があります。素晴らしい生薬を()えると保険適用のお金では赤字になります。そこで致し方なく自費診療を行っているところも少なくありません。また街中にある漢方薬局などで医師免許ではない薬剤師が漢方薬を処方しているところは健康保険の対象にはなりません。保険の適応を受けたければ、まずは病院や診療所で診察を受け、医師に漢方薬の処方箋を書いてもらう必要があります。

漢方のエキス剤も煎じ薬も保険適用ですから、まずどの医療機関でも扱える保険適用の漢方エキス剤を試してみましょう。そして治らない時は、保険適用の煎じ薬を試してみるのもアリです。それでも治らない時は自費の漢方薬を試してみるとイイでしょう。西洋薬一辺倒という医師も多いですが、中には漢方薬を西洋医学の補完的薬剤としている医師もいます。こういうところで相談してみるのもイイかもしれません。  つづく・・・

<関連記事>
・漢方薬 あれこれ 1
・漢方薬 あれこれ 3
・鍼灸治療・漢方薬  WHO認定 1〜3

・統合医療 1〜4
・補完・代替医療:CAM 1〜4
・ガン 補完代替医療 1〜7
・自律神経免疫療法 1〜3
・薬用作物(薬草)栽培 1・2
・漢方 指針作り 1〜5
・生物資源 1〜4
・葛根湯 1〜4
・独活葛根湯 1・2
・清肺湯 1〜3
・防風通聖散 VS 九味半夏湯 1〜5
・漢方薬の軟膏 1・2
・逆子の灸 1〜5
・不妊治療 鍼灸 1・2
・「つわり」の鍼灸治療

| 漢方薬 | 09:07 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑PAGE TOP -
漢方薬 あれこれ 1

おはようございます。昨日は強い台風21号の影響で大荒れ
東京も昨夜は暴風雨の後に地震。自然を侮るなかれ!!

さて、そもそも漢方薬の歴史は非常に古いです。漢方のバイブルとも言われる『傷寒論』(しょうかんろん)という医薬書は約1800年前には出来上がったとされています。日本では卑弥呼が登場する頃です。その『傷寒論』の中に現在の保険適用の漢方薬約半数が含まれています。 しかし『傷寒論』の原本はありません。1800年前には紙や印刷技術が普及していません。ですから当時は竹や木を糸で板状につなぎ合わせて、そこに墨や漆で字を記載した竹簡・木簡です。そして保管する時はクルクルと丸めて保管したのです。ですから今でも百科事典などは「○○巻」とナンバリングされています。現存する『傷寒論』は紙と出版技術が進歩した宋代の写本です。『傷寒論』の原本には色々な説がありますが、宋代ですら約1000年前です。そのことから漢方の知恵は確実に存在していたことになります。

漢方薬と現代西洋薬学は基本的な考え方が異なります。漢方薬は数種類の生薬の足し算叡智()です。現代西洋薬学は引き算の知恵です。何か薬効がある成分を含む生薬から精製分離という化学的知恵が生まれたのは約200年前です。1804年に阿片からその主成分である物質が精製分離でき、それをモルヒネと名付けたので、そこから現代西洋薬学が産声を上げたと説明する医師もいます。そんな引き算の知恵と技術ができる前は足し算です。薬効がある生薬を足し合わせて、効果を増強副作用を減らし、そして新しい作用を生む組み合わせを創り上げました。

皆さんも一度は漢方薬を服用したことがあると思います。多くの方は顆粒状になった漢方エキス剤ではないでしょうか。”風邪に葛根湯”というイメージの方も多いかも知れません。漢方薬の多くは数種類の生薬を配合しています。生薬の多くは植物由来です。 ()動物、鉱物なども使われます。それらを水から煮詰め成分を凝縮させてものが煎じ薬です。ですから多くは名前の最後に「湯」が付きます。有名な葛根湯も実は『傷寒論』に登場します。煎じ薬の利点は、生薬をいろいろと加減できることです。構成生薬の分量の加減もできますし、また新しい生薬を加えたり、特定の生薬を抜いたりもできます。これを「さじ加減」といいます。これによりオーダーメイドの漢方薬が作れると言うことです。

エキス剤とは、インスタントコーヒーのようなイメージです。インスタントコーヒーはお湯に溶かすと本当のコーヒーに非常に近くなります。同じように漢方エキス剤もお湯に溶かすと昔ながらの煎じた漢方薬に近くなるのです。煎じ薬はブレンドコーヒーをマメの種類や量をいろいろ工夫してより美味()しくするのと非常に似ています。欠点は毎日煎じることはちょっと無理なことです。煎じるには30分は必要ですから。また携行には向きません。つまり現代人がポケットにいれて持ち歩くという西洋薬のイメージからはまったく別物になります。そこで漢方エキス剤が登場しました。煎じ薬を煮詰めて、その成分を乳糖などに吹き付けて、そして顆粒()にしています。通常は5年間の有効期限があり便利です。  つづく・・・

<関連記事>
・漢方薬 あれこれ 2
・漢方薬 あれこれ 3
・鍼灸治療・漢方薬  WHO認定 1〜3
・統合医療 1〜4
・補完・代替医療:CAM 1〜4
・ガン 補完代替医療 1〜7
・自律神経免疫療法 1〜3
・薬用作物(薬草)栽培 1・2
・漢方 指針作り 1〜5
・生物資源 1〜4
・葛根湯 1〜4
・独活葛根湯 1・2
・清肺湯 1〜3
・防風通聖散 VS 九味半夏湯 1〜5
・漢方薬の軟膏 1・2
・逆子の灸 1〜5
・不妊治療 鍼灸 1・2
・「つわり」の鍼灸治療

| 漢方薬 | 09:02 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑PAGE TOP -
清肺湯 3

おはようございます。今週末の3月11日(土)臨時休診です。
ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解の程お願いいたします。

さて、お隣の中国では大気汚染が深刻化しています。北京市内のガン患者数は15年前の550%増、中国の肺ガン患者は2025年までに100万人超と言われています。

2014年、中国は自国民に対する日本への観光旅行規制緩和。すると翌年、「爆買い」という言葉に象徴されるように中国人観光客は日本へと一気に押し寄せ、日本のデパートや量販店などで大量の買い物をしました。ちなみに中国人の人気が最も高かったのはドラッグストアなどで販売される一般用医薬品で、次が日本製の化粧品とウォシュレットです。

中国人旅行客の間で爆買い人気となっているのが大気汚染の特効薬として、こぞって買い求めているのが小林製薬の「ダスモック」です。これは漢方薬の清肺湯(せいはいとう)です。清肺湯は肺の熱をさます。つまり肺の炎症を緩解させる作用があるとされており、処方名はこの薬効より名付けられた処方です。清肺湯は陳旧性の熱痰陰虚を伴ったものに使用します。「痰の多く出る咳」に汎用されています。

清肺湯の処方構成は茯苓・当帰・麦門冬・黄芩・桔梗・陳皮・貝母・桑白皮・山梔子・天門冬・杏仁・竹茹・大棗・五味子・乾生姜・甘草。清熱の黄芩・山梔子・桑白皮で肺熱を冷まし、化痰宣肺の貝母・桔梗・杏仁で痰を除き、養陰補血の天門冬・麦門冬・五味子・当帰で肺を滋潤します。茯苓・甘草・大棗・陳皮・生姜は健脾和胃により肺陰の補充と化痰を助けます。

効能は清肺止咳袪痰滋陰です。適応症は咳がいつまでも続いて粘っこく切れにくい痰が多く出て、咽喉頭痛、声がれ、咽喉頭の異常感、ときに血痰などを伴うものに用います。つまり慢性気管支炎気管支拡張症・肺結核などで肺熱肺陰虚を呈するものに用いられます。

類方(類似する漢方薬)には五虎湯(ごことう)があります。激しい咳と共に咽痛のあるものに用います。麦門冬場(ばくもん
どうとう)は激しい咳で痰が切れにくく胃陰虚による気道の乾燥に用います。

日本で脈々と受け継がれている漢方薬鍼灸治療東洋医学伝統医学って効かなければ廃れるはずです。しかし、継承されているのは一定の効果があるからです。イメージだけで気嫌いせずに、困ったことがあったら専門家に相談してみてください。   〆

<関連記事>
・清肺湯 1
・清肺湯 2
・薬用作物(薬草)栽培 1・2
・漢方 指針作り 1〜5
・生物資源 1〜4
・葛根湯 1〜4
・独活葛根湯 1・2
・花粉症に効く漢方薬 1〜6
・防風通聖散 VS 九味半夏湯 1〜5
・風邪薬→覚醒剤 1〜3
・漢方薬の軟膏 1・2
・ニセ漢方クリーム 1〜4
・ノーベル賞 中医薬 1〜5
・青蒿 マラリア治療薬 1〜3
・『肘後備急方』 

| 漢方薬 | 09:01 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑PAGE TOP -
  • 1/8PAGES
  • >>