おはようございます。先日購入したガリレオ温度計が案外正確なのに驚きました。見た目も涼し気なので、これからの季節にはイイですね。
さて、薬効のないはずの薬が効くと信じることによって効果を示すプラセボ効果(プラシーボ効果)はよく知られていますが、その反対に副作用(副反応)が出るのにノセボ効果 (ノシーボ効果、反偽薬効果、nocebo effect)があります。
プラセボ効果は、効果のない薬であっても一定数の人にとっては、なぜか効果を発揮します。しかし「薬は毒だ」と思い込んでいたり、医療者への不信感があると薬の効果が減少します。ノセボ効果によって薬の効果が約20%低下することがあります。
しかし、プラセボ効果とノセボ効果は、いずれも説明不可能性という特徴があります。例えば、臨床試験で用いる被験薬の服用前に、「この薬は、副作用として吐き気を起こすことがあります」と副作用の説明がなされるとします。そう説明すると、たとえ服用させたのものが偽薬でも吐き気を起こしうることが知られています。
偽薬の服用行為による望ましい変化がプラセボ効果であり、望ましくない変化はノセボ効果です。偽薬の場合、吐き気が起こる変化を、何らかの成分が原因だと説明することができません。そして、吐き気は望まない変化でした。こうした場合、上記の理由から、吐き気が起こる変化はノセボ効果によるものだと判断されることになります。
一見するとノセボ効果は副作用と似ていますが、副作用は「医薬の一定の作用を利用して治療しようとする時、それに伴って、治療の目的に沿わないか、または生体に不都合な作用が起こること。また、その作用」です。つまり、副作用は作用機序を考慮できますが、ノセボ効果は作用機序を考慮できない望ましくない変化です。
薬だけでなく、社会的なノセボ効果があります。例えば、風力発電装置の発する重低音波が半径10km以内に居住する住民の健康に悪影響をもたらすことが、研究により明らかとなったとします。こうした報道があった直後、数年来なんともなかった近所の住民において、頭痛や吐き気の訴えが増える傾向があります。
社会的なノセボ効果、報道の影響によるノセボ効果は実感される効果として実際に人体に影響を及ぼしうるものですので、科学的な検証よりも、むしろ感情的で性急な結論を導きがちです。
また、影響のあるorなしを証明することは非常に難しく、多くの場合には不可能です。対象物の影響による真の効果であるのか、はたまた思い込みによる社会的ノセボ効果であるのか、これらを見分ける現実的な手段は存在しません。
医療に話を戻しますが”病名告知””死期の宣告”は、ノセボ効果により好ましくない結果につながります。つまり信頼のおけるかかりつけ医やかかりつけ薬局をみつけておくことが大事です。「医は仁術」(医術は単なる技術ではなく、人を救う道である)です。そして、日々の健康維持や健康管理のために”信頼のおけるかりつけ鍼灸師”をみつけておくのもイイかもしれませんね。 〆
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