おはようございます。明日10月28日(土)は午前のみ臨時休診となります。午後は通常診療しますので、ご理解の程、よろしくお願いいたします。
さて、政府と東京電力は福島第一原発の処理水を大量の海水で薄めて基準の40分の1未満の濃度にしたうえで海洋放出しています。その放出した水をくみ上げることがないよう、海底トンネルを掘って沖合1キロで放出しています。これから放出はいつまで続くと思いますか? 放出の完了には30年程度という長期間が見込まれています。
1回目の放出は8月24日〜9月11日まで、17日間かけてタンク10基分の7800トンを計画どおり放出したということです。今年度は合わせて4回でタンク30基分の処理水を放出する計画ですが、汚染水自体も(新たな処理水も)タンク20基分増える見込みです。このため実際に減るのはタンク10基分で、換算すると今貯めてある処理水全体の1%に満たないのです。
10月5日から福島第一原発にたまる処理水の2回目の海洋放出が始まっています。17日間程度かけて初回とほぼ同じ7800トンを流す予定です。1日当たりの放出量は460トンほどとなります。2023年度中にタンクにたまった処理水の総量の2.3%に当たる3万1200トンを流す計画ですから、これからも継続的に海洋放出が行われ続けます。
そして、汚染水を根本的に抑制する対策がされていないので、これからも放出し続けます。政府と東電は「汚染水を貯めておくスペースが足りない」ことを理由に海洋放出を正当化していますが、第一原発の敷地内にも近隣地域にも汚染水を長期的に保管するための十分なスペースがあります。
このことは2018年の時点で東京電力が、2020年の報告書で日本政府が認めています。場所がないなら土地を提供すると申し出た地元の方もおられます。それなのに敷地内に「タンクを置く場所がなくなる」のはどうしてでしょう?
そもそも原発を廃炉にする計画は最長で事故後40年の2051年で、東京電力はそこまでに放出を終えるよう毎年放出計画を策定するとしています。2051年は28年後なので、正確には”後28年で廃炉完了させる”ということです。あくまでも計画なので、延長するのは目に見えています。
政府と東電は「廃炉にはデブリ(溶け落ちた核燃料)を取り出すことが必須で、その作業に必要な施設を設けるスペースが必要だから、敷地内の汚染水タンクを撤去しなくてはならない」としています。でも、デブリの取り出しは暗礁にのり上げています。デブリがある場所は事故から12年を経た今でも放射線量が高すぎて人間が近づくことはできません。
ロボットなど特殊な装置を開発してデブリがどのような状況になっているのかの調査が続いているのが現状です。いつになるか全く見通せないデブリの取り出しが進んだときの保管場所を確保するために処理汚染水のタンクを取り除く海洋放出をしているのです。専門家は「デブリを取り除くのは不可能だ」という見解が大多数を占めています。
2051年の廃炉完了に向けた放出でしたが、本当にこの時期が適切だったのでしょうか? そして、本当に2051年に廃炉は完了できるのでしょうか? 今ですら高レベル放射性廃棄物の最終処分場も決まっていません。すべてが不確定のまま動いています。それを後世の子どもたちに丸投げするのだけは止めて欲しいと切に願っています。 〆
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