おはようございます。今冬は暖冬のようで沈丁花も咲き始め芳香を放っています。モクレンが咲いたら、次はソメイヨシノです。
さて、2005年に「発達障害者支援法」が施行され、条文では発達障害の早期発見・早期支援が謳われていますが児童精神科医による初診までの待機期間が長いのです。
総務省が2017年に公表した全国27カ所の専門的医療機関を対象に行った調査によると、発達障害が疑われる子どもの初診までに3カ月以上かかる医療機関は半数以上。最長10カ月待ちのケースもあったのです。初診を待っている患者数が316人に上る医療機関もありました。
一方、2019年度から厚労省やこども家庭庁は「発達障害専門医療機関初診待機解消事業」を実施しています。具体的には診断前に医師らが行っている生育歴の聞き取り、行動観察、発達検査といった評価を地域の児童発達支援センターなどに外部委託し、医療機関での診療時間を短くすることで初診待機期間の短縮を目指しています。
この問題の背景には発達障害が疑われる子どもの増加と専門医不足があります。発達障害疑いの子が増えている理由については、発達障害が広く認知されるようになったことや診断基準の変更が挙げられています。
児童精神科医は小児科医もしくは精神科医が児童専門分野として担当する場合があります。児童精神科医になるための研修は、多くの場合、子どもの入院施設で常勤として勤め、一般精神科医よりも夜遅くまで仕事があり、その保護者も相手にします。体力的にもメンタル的にもハードで途中で挫折する医師も多いそうです。
また、開業する場合は成人の精神科より労力がかかり看護師、心理士、言語聴覚士、理学療法士など人手も多く必要です。収入がさほど高くない一方で体力と熱意が求められ、いろいろなことを犠牲にしなければならないようです。つまり”やる気搾取”で成り立っている側面があることが指摘されています。
そして、公認心理師という国家資格がありますが、心理職が行う業務のうち保険診療の診療報酬の加算対象となる項目は数少なく、医療機関としては心理職を積極的に雇用しにくい要因の一つとなっています。とはいえ、今後は地域の保健、子育て支援などの関係者と、医師や心理士などが連携して子どもの発達相談に応じ、必要な支援につなげていく必要があります。 〆
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