おはようございます。昨日は臨時休診でしたが、
今日から通常診療です。「秋深き…」しみじみです。
さて、皮膚ガンには「ほくろのガン」とも呼ばれるメラノーマ(悪性黒色腫)があります。メラノーマは見た目はほくろとよく似ています。日本では1年間で人口10万人あたり1〜2人発症するといわれています。50歳代から増加し、60〜70歳代に最も多く発症します。また発症数は少ないものの20〜30歳代にもみられます。漫画「巨人の星」に出てくる星飛雄馬の初恋の人、美奈さんはメラノーマができた指で夜空を指し「死の星」と表現しています。実際、その後若くして命を落とすストーリーになっています。
ほくろとメラノーマを区別する方法「ABCDルール」があります。ABCDルールは医学部生が皮膚科で勉強するメラノーマとほくろの見分け方です。医師国家試験でも頻出されるそうです。ABCDルールを基準にほくろを観察すれば、メラノーマかどうか見分ける手助けになります。ただし、あくまでもこの方法は診断の補助に使うものです。疑わしいほくろは早い段階で皮膚科専門医の診察をうけることをオススメします。
A (Asymmetry)は左右非対称です。メラノーマは左右非対称の形をしていることが多く、左右非対称ならメラノーマの可能性があります。B (Borderless)は辺縁不明瞭です。ほくろの辺縁がはっきりしているのに対し、メラノーマの辺縁は不明瞭です。これもガン細胞の多様性によるものです。
C (Color)
Colorは色調です。メラノーマは真っ黒の部分と薄い部分が不規則に混在します。辺縁不明瞭と同様にメラノーマ細胞がつくるメラニンの量はガン細胞ごとに異なります。その結果、メラノーマには色ムラができます。色調が単一かどうかはメラノーマとほくろを見分けるうえで重要な要素です。また、メラノーマは自然消退することがあります。免疫細胞に攻撃された結果と考えられています。自然消退した部分は普通の肌色に戻ります。メラノーマには黒の濃さに違いがあり、ときどき黒い中に肌色の部分があるのが特徴です。
ちなみに完全に自然消退したように見えたメラノーマが数年後、再発・転移して見つかることがあります。消えたように見えてもメラノーマ細胞は体のどこかに残り生き続けていると考えられています。つまり、「消える」イコール「治る」ではありません。自然消退したほくろに関してはメラノーマを疑うことがあります。 つづく・・・
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