おはようございます。週明けには首都圏も自粛解除でしょうか。海外では第2波が出ています。
さて、種苗法改正案は2020年5月の連休明けに審議が始まる予定です。農水省の「種苗法の一部を改正する法律案について」が農業者に対し十分に周知されないまま進んでいます。
しかし、2020年5月20日、自民党の森山裕国対委員長は種苗法改正案の今国会での成立を見送る方針を示唆しました。廃案ではありません。記者団に「日本の農家をしっかり守る法律だが、どうも逆に伝わっている」と述べ、成立には時間が必要だとの認識を示しています。
この改正案は米、果物、野菜の9割前後の一般品種は制限せず、ゆめぴりかのような米や、シャインマスカットのようなブドウといった登録品種について自家採種などを制限する内容です。もともと種苗の開発は国や自治体の仕事で「種苗は公共財産」という考えが農家には強いのです。
「優良なブドウやイチゴの登録品種が海外に持ち出されにくくするため」と農水省は主張していますが、果たして有効な手段なのでしょうか。改正案で海外流出の防止を理由にするのはごまかしです。改正案でも違法な海外流出を防げません。流出した種苗の生産をやめさせるには海外で品種登録するしかありません。
シャインマスカットなどが中国や韓国で無断で栽培されていると伝えられています。それは、開発者である日本の政府がそれぞれの国で品種登録をしなかったからです。政府の怠慢を棚に上げて、自家増殖を原則禁止とするのはお門違いです。
もとより現政権は農業に市場原理を持ち込むことに熱心です。2017年に制定された農業競争力強化支援法は、都道府県が持つ種苗の知見を多国籍企業も含めた民間に提供するよう求めています。
日本の米や麦などの優良品種の作出を都道府県に義務付けタネを守ってきた主要農作物種子法(通称:種子法)が「民間の開発意欲を阻害する」という理由で2018年3月末で廃止されています。種子法は衆参合わせてわずか12時間の審議で廃止になっています。
日本政府は他国へ知的財産権強化する国際条約である「植物の新品種の保護に関する国際条約(UPOV)」を推進しています。そうした流れの中で種苗法改正案が、種子法廃止の際のように国会で議論もほとんどなく通過してしまう可能性があり、日本の種子を守る会や農民運動全国連絡会が異議申し立てを行っています。 つづく・・・
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