おはようございます。毎年、この時期にてんゆ堂ではアマリリスが咲きます。キレイで好きです。
さて、農水省の「種苗法の一部を改正する法律案について」でも示されているように種苗法改正案は2020年5月の連休明けに審議が始まる予定です。
しかし、2020年5月20日、自民党の森山裕国対委員長は種苗法改正案の今国会での成立を見送る方針を示唆しました。廃案ではありません。記者団に「日本の農家をしっかり守る法律だが、どうも逆に伝わっている」と述べ、成立には時間が必要だとの認識を示しました。
改正案の問題点は、種苗の知的財産権を強化し農業者の種子の権利を抑制する点にあります。優良なブドウやイチゴの登録品種の海外流出防止するためと農水省は主張していますが、果たして有効な手段なのでしょうか。
日本の米や麦などの優良品種の作出を都道府県に義務付けタネを守ってきた主要農作物種子法(通称:種子法)が「民間の開発意欲を阻害する」という理由で2018年3月末で廃止されています。軌を一にして農業競争力強化支援法が施行され、国や都道府県の試験研究機関が保有する種苗に関する知見を海外企業も含む民間企業へ提供するよう求めています。
この動きは民間活力導入の名のもと、各県で蓄積してきた知見を民間への引き渡しを促す行政通知も行われ、種子生産・供給における農研機構や都道府県の試験場などの役割を後退させました。種子法は種子の増殖を目的として制定されたもので対象は稲、麦類、大豆でした。
一方、改正案では対象はすべての植物です。こうした条例制定の動きで、現場ではどうのような不利益が生じるか不明確であり疑念が持たれています。
自家増殖を禁止する改正案について、東京大の鈴木宣弘教授(農業経済学)は「国内品種の海外流出を防ぐという大義は理解できる。しかし、日本でも世界的流れと同様に、多国籍企業が種苗を独占していく手段として悪用される危険がある」と指摘しています。
また「種苗法が改正されると、農家は常に種を買わないといけなくなる。種のコストが高まる。『種を持つものが世界を制す』とはいう。これでは日本の食は守れない。南米やインドでは在来種を守ろうという抵抗が農家や市民から起きている。国民が知らぬ間の法改正はあってはならない。日本の市民はもっと関心を向け、引き戻しの議論をしてほしい」と訴えています。
除草剤と肥料と種子をセットにして売るというビジネスモデルで成功しているモンサント・デュポン・シンジェンタなどの多国籍企業6社ほどが世界の種子を牛耳り支配しているのです。例えば、モンサントの米の種子を高値で買わされ続ける農家の負担は消費者にも跳ね返り、米の値段は10倍にも跳ね上がる可能性があります。すでに野菜の種子は90%以上が外国産です。 つづく・・・
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