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種苗法改正案(2020年)7

おはようございます。来週から近所の小学校も分散登校が始まるようです。新1年生の入学式もやって欲しい!!

さて、農業者に対し十分に周知されないまま種苗法改正案が進んでいます。しかし、2020年5月20日、自民党の森山裕国対委員長は種苗法改正案の今国会での成立見送る方針を示唆しました。廃案ではありません。

種苗法改正案に理解を示す声は農業研究者やジャーナリストらから寄せられています。新しい品種権利侵害され海外流出するケースがあって権利者を保護するための改正であり、国際競争力を持つ日本の種苗企業に対してその開発力を育てる発想が必要になるといった意見です。

しかし、種苗法改正案の問題点は、種苗の知的財産権を強化し農業者の種子の権利を抑制する点にあります。日本は「食料・農業植物遺伝資源条約(ITPGR)」という国際条約に加盟しています。

そこでは食料や農業の植物遺伝資源である農作物のタネは、農民により保全・改良されてきたことが明記されています。農民はその貢献から発生する農民の権利を保有することが謳われています。これが農民が自家採種する権利の中心概念となっているます。

農水省の「種苗法の一部を改正する法律案について」では種苗法改正後も一般品種については自家増殖(自家採種)できるとしています。しかし、種苗の自家増殖禁止の対象が数年で急増しています。種苗法が成立した1978年には農家の自家採種の慣行に配慮し、自家増殖を認めない植物は、挿し木等によりきわめて容易に繁殖するキク等の花卉類やバラ等の鑑賞樹に限られていました。

1998年に23種だった対象品目は、2020年には396種と大幅に増加し、食卓に身近な野菜なども対象に上り、さらに登録品種が一つもない品目も追加され農業者の自家採種の権利が抑制される傾向にあります。

農水省に対して農山漁村文化協会(農文協)が自家増殖禁止の理由についての質疑に対して「自家増殖原則禁止が国際標準であり、日本は他国に比べて取り組みが遅れており、今後も品目リストを増やし、これまでの対象である栄養繁殖の植物だけでなく、種子繁殖の植物も追加していく」と回答しています。

つまり、今後は食卓により近い作物が対象になっていく可能性があります。この主張には国際条約で保護されている種子を育成してきた農業者の種子への権利の抑制を意味しています。

野菜の種子はほとんどがF1品種という自家採種できない種子が多く、種苗メーカーもほとんど登録していないことがあります。F1品種とは、性質の異なる2品種の野菜を掛け合わせることで双方の利点を兼ね備えた品種です。

一代交配」「ハイブリット種」とも呼ばれます。簡単に説明すると「味は良いけど実が小さい野菜」と「味は悪いけど実が大きい野菜」を掛け合わせて「味が良くて実も大きい野菜」を産み出す技術です。

この特徴は次の世代には受け継がれないので、F1品種の野菜から種を採って育てても同じ品質の野菜はできません。多くのF1品種は種子による自家増殖はそもそもできません。

固定種の野菜と違って品質の揃った野菜が収穫できるので農家にとっては非常に都合が良く、現在スーパーなどで売られている野菜のほとんどはこのF1品種の野菜になっています。ただし近年野菜の登録品種の数も少しずつ上昇しており、今回の改正を契機にさらに増加する可能性もあります。   つづく・・・


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